電工ペンチ(圧着ペンチ)の使い方

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電線やリード線を切断や被膜剥き、端子の圧着などに使用する特殊なペンチが電工ペンチ(圧着ペンチ)だ。電気工事や電子工作、クルマの電装系整備には欠かせないツールでその使い方にも特徴がある。どのような用途に適していてまた具体的にどのように使うのか解説する。

1.電工ペンチ(圧着ペンチ)とは
2.電工ペンチの各部名称と機能
3.電工ペンチの使い方
4.圧着端子の種類
5.ワイヤーカッター、ボルトカッターの使い方
まとめ

1.電工(圧着)ペンチとは
電工ペンチは自動車などの電装部品の製作やメンテナンスに使用する特殊なペンチだ。通常のペンチとは違い、二枚の薄い金属板を組み合わせたような形状をしている。
主に接続端子などを電線やリード線にカシメ(金属などの素材に圧力をかけ、変形させることで他の部品と固定する方法)たり、圧着するために使用するものだ。また多くの場合リード線の被膜だけを剥くことのできるワイヤーストリッパー機能や小さなボルトやねじを切断するボルトカッター機能など複数の機能も持っている。 電線やリード線どうしの接続にはハンダづけなども使われるが、ハンダは振動や熱などによって接続部分が劣化し、外れてしまうことがある。しかし、リード線にギボシ端子や平型端子を取り付け、端子どうしで接続すると外れるリスクが減り、また、接続後に配線を切断することなくスムーズに取り外すことも可能だ。

2.電工ペンチの各部名称と機能

①ダイス/この部分でスリーブや端子の爪に圧力をかけつぶすことで電線などとカシメる。
②ワイヤーカッター/電線などを切断するカッター。
③ボルトカッター/ボルトをねじ込み、ハンドルを握ることでネジ山をつぶさずにボルトをカットすることが可能。
④ワイヤーストリッパー/電線の絶縁被膜を剥きとる刃。
⑤ハンドル/手で握るグリップ部分。

3.圧着ペンチの使い方
クルマやオートバイの電装品はバッテリーによる直流12V、または24Vの電源を使用しており、電圧30V未満なので資格なしでDIYでの配線が可能だ。そしてDIYでのクルマやオートバイの電装品取り付けやメンテナンスによく使われるのがギボシ端子。
その取り付け方を覚えておくと、様々な電装品取り付けに応用可能だ。取り付け方は非常に簡単。繋ぎ合わせたいリード線のそれぞれにギボシ端子を取り付け、電線どうしを接続するだけだ。使用するのはリード線と、オスとメスそれぞれのギボシ端子、そして絶縁キャップ。薄型の平型端子の場合も、基本的に圧着方法は同じだ。

●ギボシ端子の圧着方法

①リード線の絶縁被膜を剥く

まず、ワイヤーストリッパーでリード線の絶縁被膜を剥く。必ずリード線の太さに合った刃で被膜を剥こう。クルマやバイクの場合、太さは0.2スケア(リード線の太さ、断面積のサイズを現した数値)と0.5スケアの2種類がよくつかわれている。被膜剥きの際は使うを刃を間違えると、被膜が剥けなかったり、中の芯線を切断してしまうので注意が必要だ。

芯線をまとめる

被覆を剥いた芯線を指でねじってまとめよう。芯線は、1本でも飛び出していると、他の配線に触れショートの原因となるので、しっかりとねじりまとめること。

③ギボシ端子のリード線を通す

端子にかぶせる絶縁キャップを先にリード線に通してから、次にギボシ端子のオス端子側にリード線を通す。芯線が端子の小さいほうの爪から1ミリ程度はみ出すぐらいが目安。大きな爪には、絶縁被覆部分が重なるようにする。

④小さいほうの爪に仮カシメを行う

先に小さい方の爪を仮カシメを行う。爪のサイズよりも1サイズ大きいダイスで軽く挟み、カシメよう。爪がM字状になり、端子がカシメられたらOK。左右の爪が折り重ならないように気をつけよう。

⑤本カシメを行う

次に本カシメをする。使用するギボシ端子に合ったダイスで、しっかりとカシメる。ハンドルを強く握り確実に圧着しよう。

⑥圧着を確認

小さい爪が、芯線にしっかり圧着されている。芯線が外にはみ出ていないかもチェックしよう。

⑦絶縁被膜にカシメる

次は大きな方の爪を、絶縁被膜にカシメる。先ほどと同様にまず1サイズ大きなダイスで仮カシメを行う。

⑧前年被膜に本カシメ

さらにジャストサイズのダイスを使って本カシメをする。

⑨芯線がはみ出してないか確認

爪が配線の絶縁被覆にしっかりと食い込むようにするのがポイントだ。ハンドルを握り強く圧着しよう。同様にメス型端子にもリード線をカシメる。取り付けられたら芯線がはみ出してない確認する。

⑩リード線が抜けないかチェック

ギボシ端子のオス(上)と、メス(下)を取り付けることができた。しっかり取り付けられているか、リード線を軽く引っ張り端子から抜けないか確認しよう。問題なければ先に電線に通しておいた絶縁キャップを端子にかぶせる。

⑪ギボシ端子のオスとメスを接続して完成

端子同士を接続。少し力が要るがしっかりと差し込みつないで、端子部分をそれぞれの絶縁キャップでカバーすれば完成だ。

4.圧着端子の種類
電工ペンチでカシメることができる圧着端子には、カシメる爪部分が開いたオープンバレルタイプ、筒状に閉じたクローズドバレルタイプ、端子の先端が被覆されていない裸端子、端子の先端が被覆されている絶縁端子など、いくつかの種類がある。代表的なものが以下だ。

ギボシ端子

円筒形のオス端子と、メス端子の一対からなっている端子。オスどうし、メスどうしで繋げることができないので、つなぎ間違いによる配線のショートを防ぐことが可能だ。その形状が橋の欄干などにある“擬宝珠(ぎぼし)”に似ていることからこの名前が付けられている。カーオーディオ他、クルマの電装パーツの接続に多く用いられている。

クワ型端子

その形状が、まるで昆虫のクワガタの角のような形をした平型の端子。先端がオープン型になっており、ネジ止めされている配線にも、ネジを緩めることで簡単に結線可能だ。主に、自動車のアース線の接続などに使われている。

平型端子(ファストン端子)

薄く平べったい形状をした端子でファストン端子とも呼ばれている。ギボシ端子と同様にオス端子とメス端子で一対となっており、結線ミスを防ぐことが可能。端子同士の着脱が簡単で自動車の電気系パーツの配線などによく使われている。

丸型端子

先端がリング状になった端子。クワ型端子と形が似ているが、先端はオープンになっておらず、クローズ形状になっている。クローズ型なのでネジなどで接続対象につないだ場合にも、振動などでは容易に抜ける心配がない。

5.ワイヤーカッター、ボルトカッターの使い方
電工ペンチは圧着端子の取り付け以外にもリード線の絶縁被膜剥きやボルトやビスの切断などをお香ことができる。被膜剥きに関しては使い方を知っている人も少なくないが、ボルトカッター機能は使ったことがないという方も多いはずだ。
使い方はとても簡単なので知っておくと、細かな部品を取り付ける際のビスを調整することができるので意外に役立つ。ぜひ覚えておこう。

●ワイヤーカッターの使い方

ワイヤーカッター機能は電工ペンチの先端、もしくは回転軸の根元部分に装備されている。ニッパのような刃が付いている部分で切断対象の電線を挟みハンドルを握るときれいにカットすることができる。

●ボルトカッターの使い方

ボルトカッター機能は長すぎるボルトやビスの切断が可能だ。まずは、ボルトやビスを電工ペンチのボルトカッターの穴にねじ込む。

切断したい場所までねじ込んだらハンドルを強く握る。するとこのように簡単に切断ができる。

ボルトをドライバーで回し取り外せば完了。ネジ山が潰れることなくキレイに切断することができた。

まとめ
電工ペンチは電子工作や電装品の取り付けのために使用する特別なペンチだ。ちょっとした配線の修理などならラジオペンチなどで代用は不可能ではないが、正確さが求められる電気関係の作業にはやはり専用の道具を持っておくのがベストだろう。決して高価なものではないし、一本持っておくと、電装品の取り付けやメンテナンスだけでなくちょっとした配線の修理などにも役立つので、リード線や各種端子と一緒にそろえておくことをおすすめする。