釘やボルト、溶接や接着などとは違う部材同士の締結方法がリベットだ。スピーディな作業が可能で強度も耐久性も高く使いこなせば非常に便利なもの。そんなリベットを打つのに必要なリベッターについてその使い方について解説する。
1.“かしめ“でものをつなぐリベットとは
2.作業に適したものを選ぼう。リベットの種類
3.ブラインドリベット打ち方と外し方
4.一度かしめたリベットは外すことができない?
まとめ
1.“かしめ“でものをつなぐリベットとは
航空機のボディを間近で見たことはないだろうか。もし見たことがあればその表面が意外に滑らかでなく金属板どうしが金属の鋲のようなものでつながれているのに気がついたのではないだろうか。あの丸い鋲のようなものがリベットだ。
一方の端に丸い頭をもった柱状の締結部品で、おもに金属でできている。金属板など繋ぎたい部品のそれぞれに穴をあけておき、その穴にリベットを通して部材同士を繋ぎ合わせるというもの。固定にはかしめという方法を利用しており、簡単にいえば素材を変形(つぶす)させることで動かないように固定している。締結部品(リベット)そのものを変形させるので緩む可能性が低く、また容易に外れることもない。
さらに一度かしめたリベットは、外すことは想定されておらず半永久的な締結力が期待できるのだ。そのため鉄橋などの組み立てにもこのリベットが使用されている。また、ブラインドリベットであればつなぎあわせたい部材に穴さえ開けられれば片面からでもしっかりとつなぎあわせことができるというのも大きな特長となっている。
2.作業に適したものを選ぼう。リベットの種類
リベットには金属やプラスチック製などのものがあり、さらに大きさや特長などによっても様々な種類がある。DIYなどで主に使用されてるのは、金属でできたブラインドリベットだ。このブラインドリベットの特徴は、固定したい部材の片側からのみの作業でかしめることが可能ということ。
構造はリベットボディと差し込んだ時のストッパーとなるフランジ、そして強い力で引き抜くことでリベットボディの端を変形させかしめるマンドレル(シャフト)からできている。ブラインドリベットはボルトとナットのように部材の両側からの作業は不要で、片側からシャフトを強く引き抜くだけで固定が可能だ。そのため箱状のものなど、裏側に手を入れることのできないものでも、片側からしっかりと締結が可能となっている。
3. ブラインドリベット打ち方と外し方
ブラインドリベットのかしめ方は簡単だ。必要なものは適切なサイズのリベットと、そのリベットにあったリベッターだ。リベッターにはハンドリベッターや電動リベッター、エアツールのリベッターなどがあるが、大量のリベットを使うのでなく、DIY用途が主であれば、安価で扱いやすいハンドリベッターで十分だろう。このハンドリベッターは一見大きなペンチのようにも見えるが、目的は全く違う。先端部分にブラインドリベットをセットしてグリップ部分を握ると簡単にリベットをカシメる事ができる工具だ。
ハンドリベッターの先端には穴の空いた部品、ノーズピースがある。このノーズピースは使用するリベットのサイズに合わせて簡単に交換することができる。交換用のノーズピースもハンドリベッターには付属している。ハンドリベッターにもいくつか種類があり、寝かせた状態で使用する片手式横型、材料が起きた状態で使用する片手式縦型、そしてより強い力でカシメることのできる両手式などがある。その中でも代表的なものが片手式横型のハンドリベッターだ。その片手式横型ハンドリベッターを使ったブラインドリベッターのかしめ方の手順を説明しよう。
①下穴をあける
まず使用するリベットのサイズに合った下穴を部材に開ける。4mmのリベットなら4mm〜4.2mmの穴が必要だ。穴が大きすぎるとリベットが抜けてしまうので注意しよう。
②ノーズピースをセットする
次にリベッターに用意したリベットに合ったサイズのノーズピースを取り付ける。そしてリベットセットする。
③リベットを差し込む
部材に開けた下穴に、リベッターにセットしたブラインドリベットを奥まで差し込む。
④かしめる
ハンドリベッターのレバーをしっかり握ってリベットをかしめる。
⑤締結完了
マンドレル(シャフト)が切断されブラインドリベットがしっかりとかしめられると、リベットはこのようになる。金属板どうしはしっかりとつながったはずだ。
⑥シャフトを排出する
ハンドルを握っている力を解放するとシャフトが排出され完了。この図のようにリベットとマンドレルの一部だけが部材に残る。
4.一度かしめたリベットは外すことができない?
ブラインドリベットは、リベットの一部を変形(かしめて)させて部材どうしを締結する(つなげる)のでボルトなどと違って、一度締結すると半永久的固定されてしまう。ボルトやナットのようにメンテナンスの際に取り外すことは基本的に不可能だ。
しかし、組み立てたものが破損してしまったり、どうしてもメンテナンスのためにいったん分解したいということもあるかもしれない。そんな場合にはどうしたらいいのだろう。
簡単に外すことはできないが電動ドリルなどを使用してリベットそのものを破壊してしまえば取り外すことは不可能ではない。ただし再び元に戻す場合にはまた同じようにリベッターを使って再度締結するしかないので注意が必要だ。
ではリベットはどのように破壊すればいいのか。その方法はカシメられた側のリベットの穴の中心に電動ドリルなどを当て削りとるだけ。こうすることでリベットボディとフランジ部分が分離するので、あとはリベットボディを部材の反対側に押し込み抜き取ればいい。 リベットの破壊という少々乱暴な方法なので、注意しないとドリルの刃によって部材に傷をつけてしまう可能性もある。そのため慎重な作業が必要だ。
もし、あとあと分解の必要なものであるのなら、はじめからリベットではなく別の方法でつなぐことを検討したほうがいいだろう。
まとめ
リベットを使えば薄い金属板などを、簡単に、かつ確実に繋ぎ合わせることが可能だ。溶接などよりも手軽で安全性も高く失敗する可能性も低い。さらに溶接やボルトどめなどよりも美しい仕上がりも期待できる。
加えて、他の方法では難しい、片側からしかアクセスできないものであっても確実に締結できるというのも大きなメリットだろう。このようにとても便利なものなのだがおそらくDIYのベテランでもリベットは使ったことがない、という方が多いと思われる。しかし、特に金属を使った作品作りではリベットは欠かせないもの。その使い方は是非覚えておくべきだろう。またハンドリベッターなら価格も手ごろなので、工具箱に一つ用意しておくと何かの機会にきっと役立ってくれるはずだ。
■(著)山田芳照 :リベッター、DIY技術監修、DIY講師