太い木材も簡単に切断するチェーンソー。DIYでも薪作りやログハウス製作に活躍するがその姿や動作音から扱いが難しい印象もある。しかし基本を守り正しく使えば扱いは決して難しくない。そんなチェーソーの機能や扱い方を紹介する。
1.パワフルな切断工具チェーンソーとは
2.チェーンソーを使用する際に必要な準備と注意点
3.チェーンソーの正しい使い方
4.チェーンソーの種類
まとめ
1.パワフルな切断工具チェーンソーとは
のこぎりではとても太刀打ちできないような太い立ち木でも、あっという間に切り倒してしまう大型の切断工具がチェーンソーだ。エンジンや電動モーターなどの動力を使い、前方に長く伸びた金属板の外周に配されたチェーン状の刃が高速に回転することでパワフルな切断力を発揮する。
動力にはガソリンエンジンや電気モーターが主に使われておりパワフルなのはエンジンタイプだ。ただし、エンジンタイプは大きく重量もある上、ガソリンなどの燃料を別途用意しなくてはいけない。しかし電源が不要なのでアウトドアでの作業には適している。 電気モータータイプはコードタイプと充電バッテリータイプがあり、どちらもエンジンタイプに比べれば軽く、取り回しやすいうえ、騒音が比較的小さいのが特徴となっている。さらに値段も比較的リーズナブルでガソリンなどの燃料も不要。しかし、パワーの点ではガソリンエンジンには劣るので太い樹木の伐採などならエンジンタイプが適している。家庭の庭木の伐採やDIYなどが目的であればコードタイプや充電バッテリー式で十分といえるだろう。
チェーンソーの各部の名称と役割
①ガイドバー/溝の切られた金属板でここに巻き付けられたソーチェーン回転しながら切断を行う。
②ソーチェーン/チェーンソーの刃にあたる部分。切断用カッターと駆動力を受け止めるドライブリンクをチェーン状にいくつも連ねたもの。
③ハンドガード/作業中の手を保護する。また、チェーンブレーキ搭載モデルの場合はブレーキレバーの役割も持つ。
④フロントハンドル/前側のハンドル。利き手にかかわらず左手で握るのが基本。
⑤チェーンオイルタンク/チェーンを潤滑するためのオイルを入れておくタンク。
⑥リヤハンドル/後ろ側のハンドルでスイッチが配置されている。利き手にかかわらず右手で握るのが基本。
⑦チェーンテンショナー/ここでチェーンの張り具合を調節する。
⑧スイッチ/引き金状の電源スイッチ。
①カッター/この部分がソーチェーンの刃。ここが切断対象に食い込み木材などを切断する。
②ドライブリンク/この下部にある突起が本体のスプロケット(歯車)にはまることでソーチェーンを駆動する。
③デプスゲージ/カッターが切断対象に食い込む深さを調整する部分。
④チェーンタイプナンバー/チェーンの型番を示すナンバー。
2.チェーンソーを使用する際に必要な準備と注意点
チェーンソーの準備をする際は手をケガしないように必ず手袋を装着しよう。手袋を装着出来たら本体の準備だ。
①ガイドバーを取り付ける準備
まずは本体にガイドバーとソーチェーンをセットしよう。チェーンブレーキを解除し、スプロケットカバーを外したらダイヤルを回してテンションスライドを後方に寄せておく。
②ソーチェーンをセットする
次にガイドバーの穴をテンションスライドの突起に合わせてはめ込む。ソーチェーンのドライブリングを本体のスプロケットに掛けたらガイドバーの溝にチェーンの刃を順に差し込んでゆこう。
③チェーンの張り調整
さらにチェーンの張りを調整する。ソーチェーンのテンション(張り具合)は張りすぎていてもたわみすぎていても断裂や脱落の原因となって危険。程度な張り具合はガイドバーの中央部でソーチェーンを持ち上げた際にガイドバーとソーチェーンの刃の間が2~4mm程度の隙間になるくらいの状態だ。そうなるようにチェーンテンショナーで張りを調整しよう。調整方法は製品によって違うので詳しくは説明書などで確認するようにしてほしい。
④スプロケットカバーの取り付け
ソーチェーンの張りを調整できたらスプロケットカバーを取り付け、ナットでしっかりと固定する。作業中にカバーが外れると危険なのでナットのゆるみがないようにしっかりと確認しよう。これでガイドバーとソーチェーンのセットは完了だ。
⑤チェーンオイルを給油
ソーチェーンなどの準備できたらチェーンオイルタンクにオイルを給油してオイルが正常に吐出していることを確認する。チェーンブレーキを解除しガイドバー先端を切り株などに向けたら10秒程度高速で回転させてみる。オイルが切り株に飛び散っていればOKだ。
⑥チェーンブレーキの確認
オイルが正常に吐出されていることを確認したら、次はチェーンブレーキも正常かどうかも確認する。チェーンブレーキは緊急時にソーチェーンの動きを停止するものでスイッチを切った状態でブレーキレバーを前に倒し、ソーチェーンを手で引っ張ってみてソーチェーンが動かなければ正常だ。これで準備完了。
3.チェーンソーの正しい使い方
チェーンソーは正しく構えることが重要だ。正しく構えていれば万が一固い材料などに刃が当たりキックバック(エンジンやモーターの駆動力でチェーンソー自体が跳ね飛ばされる危険な現象)が発生しても、危険を最小限にできる。正しい構え方はまず左手でフロントハンドルをしっかり握る。そして右手でリヤハンドルを持つ。
さらに左足を前に出しチェーンソー本体が体にの右側に沿うようにして半身の構えを取る。このように構えたときに右目でガイドバーの左側面が見えていればOKだ。
このように身体に近い位置のチェーンソーを持つのは怖いかもしれないがなるべく脇をしめて体の近い位置で持つ方が安定して作業することができ、より安全なのだ。
チェーンソーを使った作業をおこなう場合には安全を考慮し必ずヘルメットや防護メガネ、防振手袋などを使用するようにしよう。服装も上下長袖の作業着や安全靴などを着用するのが基本だ。さらに、騒音から耳を保護するための耳栓なども用意しておきたい。
以上の準備ができたら作業開始。まず木材などを切断するなら木材をしっかり固定する。そしてチェーンソーの根元にあるスパイクを木材に押し当てる。
4.チェーンソーの種類
●エンジンチェーンソー
パワフルな切断能力を期待できるのがエンジンチェーンソーだ。ソーチェーンの回転数も高速で、太い幹の立木などを伐採可能だがエンジンを使うため排気ガスが出るうえ駆動の際の騒音も大きい。そのため住宅地など使用すると周囲から苦情を言われてしまう可能性がある。
しかし、電源が無い場所でも長時間使用可能で作業効率に優れるため樹木の伐採や太い丸太の切断、ログハウスの設営などパワーを必要とする作業に適している。
ただし、エンジンは定期的なメンテナンスが必要でガソリンや、エンジン潤滑用オイルなど、電動チェーンソーには必要のない消耗品が別途必要となる。
●コード式チェーンソー
電源にコードを接続するだけで使えるのがコード式チェーンソーだ。ガソリンやバッテリーなどが別途不要というのが大きなメリットで、また同じ電動チェーンソーである充電式よりも比較的パワーにも優れている。コード式なのでバッテリー切れの心配もなく、電源の確保できる環境なら長時間の使用が可能というのも大きな特徴だ。ただし、電源が必要なため、屋外の作業では使いにくい場合もある。
●充電池式チェーンソー
コード式同様電動式チェーンソーだが電源に電動工具用の各種バッテリーを使用するのが充電池式チェーンソーだ。使用するバッテリーには14.4V、18V、36Vなどのタイプがあり、このバッテリーの電圧が高いほどパワーも期待できる。電圧の高い36Vタイプならコード式並みのパワーも期待できる上、コードがない分取り回しやすく、屋外でも使いやすい。
ただし、バッテリーによる駆動時間には制限あり、長時間の作業の際には複数のバッテリーを用意する必要がある。他の充電式電動工具を持っている場合は、同じバッテリーを共用できるものを用意しておくと作業の効率化が図れる。
まとめ
チェーンソーはパワフルで便利な切断工具だが、その分扱いに注意が必要だ。もし初めてチェーンソーを使うのであれば、扱いやすいのは電動式だろう。軽くて扱いやすい上、騒音も小さい。自宅の庭の手入れなどなら長時間使用でき予備バッテリーもいらないコード式が手軽で使いやすいはずだ。 ただし絶対的なパワーに関しては、エンジン式にかなわない。もし太い立ち木やログハウス作りなどで丸太などを切断する必要があるのならエンジン式のチェーンソーが適している。とはいえ、いきなりエンジン式チェーンソーを購入するのはハードルが高いはず。おすすめはホームセンターなどでレンタルのチェーンソーを利用してみることだ。電動式、エンジン式なども選べるうえ、費用もお手頃なのでレンタルで一通り試してから自分の使い方にあったチェーンソーを購入してみてはいかがだろう。
■(著)山田芳照 :チェーンソー、DIY技術監修、DIY講師