縁飾り、溝彫りなどの切削加工が自在に
トリマーは、ビットという先端工具を回転させて木材の縁を切削する電動工具で、主に装飾を施すために使います。カンナやノミでは経験と技術が必要な加工が、初心者でも簡単にでき、家具の製作工程などで活躍します。面取りという縁の加工に適したビットにはさまざまな形状があり、シンプルに角を落とすだけでなく、アンティーク家具のように複雑な装飾も、一発で削り出すことができます。額縁やテーブルに飾り縁をつけるなど、アクセントをつけたいときに使いたい工具です。また、溝彫りに適したストレートビットを使えば、精度の高い溝加工が求められる組み手を、作品製作に取り入れられます。ほかにも彫り文字や飾り彫りに適したV溝ビット、戸の引き手溝や階段の滑り止めに適したU溝ビットなどが使え、木工の多彩な加工が可能になります。
ルーター
トリマーと同様の作業ができ、より大型でパワーが強い切削工具です。建物のホゾ加工や階段の溝加工などの重切削も楽にこなします。
ビットの種類
トリマーで使える軸径6mm のビットにはさまざまな種類があり、用途や仕上げたい形状に合わせて選びます。写真のものは、右の2 本が面取り加工用、左の2 本が溝彫り加工用です。面取り用は、先端にベアリングがついたコロ付きビットが、扱いやすくおすすめです。
ビットの取り付け方
コレットチャックは、コレットコーンとコレットナットを使ってビットを固定します。ビットの着脱は、必ず電源プラグをコンセントから抜いて行ってください。
ナットを通し、先端にコーンを取り付けたビットを、コレットチャックの奥に当たるまで差し込みます。
軸が回転しないようにロックボタンを押し、スパナを使ってナットを締め付けてビットを固定します。
面取り加工をする
材料の角を角面、丸面、飾り面などのさまざまな形状に削る面取りは、トリマーの得意とする加工です。R形状、逆R形状などがある飾り面用ビットを使うと、手作業では難しい複雑な装飾加工を、家具などに簡単に施すことができます。
ベースを材料に密着させ、コロを側面にあてながら、削る速度に合わせてトリマーを動かします。
深く削る形状のときは、少しずつ数回にわけて削ると、荒れや焦げができにくく、きれいに仕上がります。
トリマーを動かす方向
ビットは上から見ると右回転になり、それにあわせて刃がついています。そのため面取り加工をするときは、材料がビットの左側にあたるように進めなければ、うまく削ることができません。加工時には作業方向を考えて、材料の固定などをしてください。
図のように、進行方向の左側にある面を削りながら進みます。逆方向に動かすと、本体が暴れることがあり危険です。
材料の外周を加工する場合は左回り、内側を加工する場合は右回りに動かします。間違えないように注意しましょう。
溝彫り加工をする
電動丸ノコでも溝を彫ることはできますが、何回も切れ込みを入れたり、のみで仕上げたりしなければならず、手間がかかります。溝彫り用のストレートビットには数種の溝幅があり、広い溝でも簡単に加工できます。U字やV字の溝も彫ることができます。
材料より長く、側面がまっすぐな木材を、ビット~ベース端の距離にあわせ、溝を彫る線と平行に固定すると、直線治具として利用できます。
ビットを選ぶことでさまざまな形状の溝を彫ることができ、組手のほかに装飾などにも利用できます。
切込み深さの調整
希望する仕上がりにあわせてビットの出し具合を変え、切り込み深さを調整します。この調整により、溝彫り加工では溝の深さを、面取り加工では断面の形状を変えることができます。本番の加工を始める前に端材を削ってテストし、最終的な微調整をしてください。
固定ネジを緩めて調整用ダイヤルを操作すると、ベースを上下に動かしてビットの出し具合を変えることができます。
ベース面から出ているビットの長さが、溝の切り込み深さになります。定規で測って長さを決め、試し彫りをしましょう。
■(著)山田芳照 :トリマー、DIY技術監修、DIY講師