ビスケットジョインターは簡単に板継ぎができる
ビスケットジョインターは、ビスケットという木製のチップを使って木材を継ぎあわせる加工に、欠かせない工具。材料同士の接合面に、継ぎ手になるビスケットを差し込む溝を彫る作業に使います。「ビスケットジョイナー」や「ジョイントカッター」などの名称でも販売されています。ビスケットジョイントの場合、ダボ継ぎのようにピンポイントで位置あわせをする精度は不要。専用工具を使うため、溝を切るまでの一連の加工が簡単です。ビスケットとビスケットジョインターを使えば、好みの板材を継ぎあわせて、幅の広い天板などを作ることができます。また、端を45度にカットした木材同士を、クギやビスを使わず、きれいに組み付けることができます。家具や額縁など、仕上がりにこだわりたい作品づくりがDIYでも手軽にできるようになります。 ビスケットのサイズは数種類あり、板材の大きさなどで使いわけます。ビスケットを入れる間隔を狭くしたり、厚い木材には2段に入れるなどができ、接合強度の調整も容易です。最近は、日本でもビスケットを入手しやすくなりました。家具製作など、材料や工法にこだわって作品づくりをする場面で、より活用されるでしょう。
ビスケットの種類
ジョイントには、ブナなどの広葉樹を圧縮した薄いビスケットを使います。サイズは世界共通規格があり、ほとんどの機種で使える#0、#10、#20 の3サイズのほか、特定の機種でしか使えない#FF などの小さいサイズがあります。
【ビスケットのサイズ】
#0 :47x15x厚み4mm
#10:53x19x厚み4mm
#20:60x23x厚み4mm
サイズの設定
サイズ調整ダイヤルの目盛りを、使うビスケットのサイズにセットするだけで、カッターで切り込む深さが調整されます。
溝切りカッター
本体前面を材料に押しあてると、設定したサイズにあわせて回転式のカッターが繰り出します。赤い線は溝の中心を示すセンターマークです。
ビスケットを使って板を継ぎ合わせる
1.継ぎ合わせる木材に並び順と裏表がわかる数字などを書いて並べ、溝を掘るところに位置あわせの線を引きます。
2.本体横の赤い印の高さに溝を彫るので、高さ調整ネジで材料の厚みのまん中あたりに印をあわせます。
3.木材の線とセンターマークをあわせてフェンスガイドを押さえ、スイッチを引きながら本体を押します。
4.隣りあう木材同士の同じ位置に、溝を彫ることができました。木材の裏表を間違えないように注意しましょう。
5.溝に木工用接着剤を入れて、ビスケットを差し込みます。溝に遊びがあるので、この時点では少しゆるめです。
6.接合面に木工用接着剤をつけ、印をつけたときのならび順どおりに木材を継ぎ合わせます。
7.クランプなどを使って均一に圧着します。最後に表面をカンナがけし、端を切りそろえて仕上げます。
接着剤はたっぷりと
この工法は接着剤の水分で膨張したビスケットと、接着力だけで木材を接合します。溝と接合面には、強度を高めるために、たっぷりと木工用接着剤を塗ってください。圧着してはみ出た接着剤は、濡れた布などできれいにふき取っておきましょう。
電気カンナ
広い面を効率的に切削
電気カンナは、カンナ刃を高速で回転させて材料の表面を切削する電動工具です。刃の出し量を上部のダイヤルで調整し、切削する深さを設定できるので、勘に頼ることがありません。広い面をきれいに仕上げるカンナがけを、初心者でもらくに安全に行えます。角の面取りや面の段差取りなども可能です。
上の作業のように、板材を継ぎあわせて作った天板の段差とりも、力を入れずにらくにできます。
■(著)山田芳照 :ビスケットジョインター、DIY技術監修、DIY講師