配線コードや電線、針金の切断からプラモデルやアクセサリー活躍する切断用の工具といえばニッパ(ニッパー)だ。DIYにも欠かせないものだが種類によってそれぞれ特徴がある。そんなニッパについて特徴や正しい使い方いついて紹介しよう。
1.ニッパとは
2.ニッパの各部名称
3.正しいニッパの使い方とは
4.ニッパの種類
まとめ
1.ニッパ(ニッパー)とは
ニッパ(ニッパー)はハサミのような形をした切断のための専用工具だ。英語ではwire cutter(ワイヤーカッター)や、diagonal cutter(ダイアゴナルカッター)、diagonal cutting pliers(ダイアゴナルカッティングプライヤー)などと呼ばれており、日本で使われているニッパ(nipper)という名称は和製英語だ。
構造はシンプルでグリップと反対の先端に鋭利で丈夫な金属の刃がついており、この部分で丈夫な配線コードや針金などを切断する。見た目はペンチやプライヤーにも似ているが、物をつかむ構造にはなっておらずあくまで切断専用のハンドツールとなっている。
先端部の刃には、用途に応じて色々な形状のものがあるがスタンダードなものは先端部が丸みを帯びたスタンダードニッパだろう。このニッパが切断できる配線コードの太さは、約2㎜程度。それより細い電線やリード線など比較的柔らかいものを切断するのに適している。
太い金属線や、丈夫な電線などを切断するなら、サイズが大きくグリップの握り部分もしっかりとした強力ニッパが適している。
また、ニッパの刃の根元部分には、リード線などの絶縁被覆をはぎとるための脱皮穴(ワイヤーストリッパー)が設けられているものもある。この部分を使うことでリード線の内部の導線を切断することなくビニールでできた被覆だけをカットすることが可能だ。 そのやり方は、まず刃の脱皮穴部分にリード線を挟み、ビニールなどでできた被覆の表面だけを引っ掻くようにして、引きちぎるだけだ。ただし、脱皮穴に合った太さのリード線以外では中の導線も切断してしまうこともある。大量に被覆剥きの作業が必要な場合は、絶縁被覆をはぎとるため専用の工具、ワイヤーストリッパーを使う方が効率的だ。
2.ニッパの各部名称
①刃先/電線やワイヤーなどを切断するための刃
②グリップ/握る部分。滑り止め用のゴムや樹脂などで巻かれている
③スプリング/刃が開く方向にテンションがかかっており切ったあと自然にグリップが開きスムーズな作業を助ける。
ニッパの刃は主に「両刃」と「片刃」に分けることができる。片刃は刃が片側にしかなく切断した際に、切断面の片方が平らになるためプラモデル制作やアクセサリーの加工、また結束バンドなどにカットに適していまる。両刃はその名の通り刃の両側が刃になっており片刃よりも高い切断能力を持っているため強力な切断能力を必要とする針金などを切断するのに適している。
左が片刃で右が両刃。片刃は刃の片側が平面となっている。両刃のニッパで切断するとその刃の形から対象の片側の面が滑らかになる。両刃は、その名の通り両側が刃になっており、優れた切断能力で太い針金などでも簡単に切断することが可能だ。ただしプラモデルやアクセサリーつくりなど精密な切断を必要とする作業には向いていない。
片刃でも両刃でも、刃の角度の違いによってニッパの切断能力は変わってくる。主に刃の厚みがあるものほど硬いものの切断に適しており、刃が薄いものほど切断面が滑らかになり細かな作業に適している。
また、ニッパの種類や大きさによって、切断できるものの太さ(最大径)は決まっており、製品のパッケージなどには切断可能な最大径が書かれているはずだ。その切断能力を超える太い金属線などを誤ってカットすると刃先がかけるなどの破損の原因になるので注意が必要だ。
3.正しいニッパの使い方とは
ニッパは一般的なハサミと同様にグリップをしっかり握り、切りたい電線や針金などを軽く刃先で挟んでから、グリップに力を入れ一気に切断するだけでいい。
刃の根元部分を使うほど、大きな力を加えることができるので硬く切断しにくいものの切断には、刃の付け根側を使うといいだろう。無理に先端で硬いものを切ろうとすると刃かけてしまうことがあるので注意が必要だ。また、切断した破片が飛び散ることもあるので、作業に際は必ず保護メガネを着用しよう。
硬くて切りにくいものの切断には、一度刃を入れてから一旦刃を開き、ニッパを回転させて別の向きからも刃を入れる。これを繰り返し切断するといい。固い金属線などを刃先でつかんだままひねったり、こじるようにすると刃こぼれの原因となるので気を付けよう。 もし小型のニッパでは切断が難しいとなった場合は、さらに大型のニッパに変えて作業を進めるのが良い。切断する対象物に合わせて適したニッパを使おう。そのほうが安全でスムーズな作業が可能だ。
4.ニッパの種類
ニッパには様々な種類があるので、電子工作やプラモデル製作などには刃先が薄く小型の精密ニッパやプラスチックニッパを使い、DIYなどで太い針金などを切断したいなら中型から大型の鋼線ニッパを使うべきだろう。一つのニッパですべての作業をおこなうのはかえって効率が悪く、思い通りのカットもできないのでおすすめできない。
できれば細かな作業用の精密ニッパと配線作業に便利な銅線ニッパ、さらに力強い切断能力を持つ強力ニッパなどをセットで揃えておくのがおすすめだ。
またDIYなどでよく使われる結束バンド(インシュロック、タイラップ)を切断するなら、専用ニッパ「キャッチニッパ」というものを使うといい。これは精密ニッパのように正確な切断が可能なだけでなく、切り離した端が飛び散らないように刃先のワイヤーキャッチャー部分でつかむことができるというもの。大量の結束バンドを切断する必要があるならこういう専用のニッパも用意しておくと作業がはかどるはずだ。
ニッパにはサイズの違い以外に様々な種類がある。目的に合わせて長と良いサイズや種類のものを選ぶ用意しよう。代表的なニッパは以下のようなものだ。
スタンダードニッパ
強力ニッパ
精密ニッパ
プラスチックニッパ
樹脂部品やプラスチックを切断するためのニッパがプラスチックニッパ。刃は片刃で切断面の片側をフラットに切断することが可能。ただし刃が繊細なので針金など硬い物を切るのには適していない。
エンドニッパ
刃がグリップに対して、直角になっているニッパがエンドニッパだ。木工などで飛び出た釘の頭などを切断することが可能。
斜めニッパ(斜ニッパ)
刃がグリップに対して斜めに傾いているニッパです。刃先が鋭利に加工されており、基盤のはみ出したハンダなどを正確にカットするためのもの。ピアノ線や銅線、弱電関係の細線など、さまざまな切断用途にも使用可能だ。
皮むきニッパ
先端の刃の部分に複数の脱皮穴(ワイヤーストリッパー)の穴が設けられたニッパが皮むきニッパだ。様々なサイズの電線の絶縁被膜をはぎとることができます。刃の先端部分は通常のニッパと同様にリード線や針金を切断することができます。
キャッチニッパ
まとめ
ニッパはシンプルな工具であり、使いい方もはさみと同様なので初心者でも使いこなしは難しくない。しかし、刃物であり導線や金属線などのカットに使うものなので安全への注意は怠るべきではないもしそのニッパでは切れにくい金属線などがあった場合は、無理に切断するのは避けよう。刃先がかける可能性がある。切断対象に適したニッパを使うようにしてほしい。
そしてニッパを使った作業の際には安全メガネの着用もするべきだ。切断した金属線で飛び散り、目をけがしてしまうこともある。また鋭い刃先は指先を簡単にキズづけてしまうので作業はくれぐれも慎重に行ってほしい。
■(著)山田芳照 :ニッパー、DIY技術監修、DIY講師