包丁の切れ味を取り戻そう! 砥石の正しい使い方

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調理に欠かせない道具、包丁。その切れ味は料理の味にまで影響するといわれている。しかし、包丁は使うほど刃が摩耗し切れ味が落ちるもの。そんな時必要なのが包丁砥ぎだが、いったいどんな砥石を使い、どのように砥げばいいのだろう。             

1.刃物砥ぎに欠かせない砥石とは
2.砥石の番手とは。砥石の種類と粒度の違い
3.簡易型の包丁砥ぎ器・シャープナー
4.砥石を使った正しい包丁の砥ぎ方
5.砥石の手入れに使う面直し砥石
6.砥石の保管方法
まとめ

1.刃物砥ぎに欠かせない砥石とは
刃物や金属部品、石材などを砥いだり磨くのに使用する石が砥石だ。中でも最も身近な砥石が角砥石だろう。角砥石には水を含ませて使用する水砥石と油を含ませで使用する油砥石(オイルストーン)がある。海外では油砥石が一般的だが、日本ではエンジンや工具などの手入れ用途以外あまり出回っておらず刃物研ぎには主に水砥石が使われている。
そんな水砥石にも天然の岩石を加工した天然砥石と、人工的に作られた人造砥石があるが、天然砥石は非常に希少で価格も高価(数万円~数十万円)なため一部コレクターのための収集品にもなっており、現在では一般的ではない。実用的な砥石となると入手しやすい人造砥石となるだろう。
人造砥石は、アルミナやケイ素などの結晶を粉末にした研磨剤を人工的に固めて作ったもので、その配合は製品やメーカーによって様々なノウハウがあるが、刃物の刃を砥ぎ、切れ味を復活させるという特徴に関しては、あまり差はない。
砥石を使った包丁砥ぎやってみたいのなら、入手も簡単で扱いやすく、価格も手ごろかつ番手(砥石の荒さ)のバリエーションも豊富な水砥石の人造砥石がおすすめだ。砥石を入手するうえでまず知っておくべき重要なポイントが番手(粒度の大小)だ。これを使い分けることで切れ味の鋭い刃を付けることが可能となる。

右から荒砥用砥石、中砥用砥石、仕上用砥石。番手が小さいほど粒度が荒く研磨力が高い。

2.砥石の番手とは。砥石の種類と粒度の違い
砥石には石の粒子の大小(粒度)や硬さによって、いくつかの種類がある。大きくは荒砥 (あらと)、中砥 (なかと)、仕上げ砥など3種類に分かれており、番手が小さい(数字が小さい)ほど研磨力が大きい。逆に番手が大きい(数字が大きい)ほど粒度が細かく鋭い刃を付けることができる。それぞれの特徴は以下の通りだ。

荒砥石(#80~400)
極めて砥粒の大きな砥石が荒砥石。研削力(削る力)が強く、砥ぐというよりは削るといった作業に使用する。包丁の切れ味が極端に悪くなってしまった場合や、刃こぼれなど刃が欠けた時などの修正に使う。短時間で砥ぐことができるがその分刃が大きく削れてしまうので日常的に使用するのは適さない。使いすぎると包丁そのものをダメにしてしまうこともあるので注意が必要だ。

中砥石(#700~1000)
荒砥石を使った後の仕上げや日常的な包丁砥ぎに適しているのが中砥石。中程度の粒度を持った砥石で、番手は#1000前後の物が一般的だ。研削力はそれほど強くないが、鋼の包丁ではなく家庭用の万能包丁などステンレス製の包丁を砥ぐ場合はこの中砥石だけで十分だろう。

仕上げ砥石(#3000~8000)
仕上げ砥石は、刃先をより鋭く仕上げたいときに使われる砥石だ。砥ぐというよりは主に研磨用で、砥粒が細かく、中砥石で研いだ後にさらに切れ味を良くする時などに使用する。鋼の包丁を使うプロの料理人などが刃物をさらに切れ味よく砥ぐために使われる。家庭用のステンレス製両刃包丁では、仕上げ砥石まで使用する必要はなく、中砥石までの砥ぎで十分だろう。

コンビ砥石

一つの砥石で片面が荒砥石、もう片面が中砥石と2つの粒度の砥石がセットになった砥石がコンビ砥石だ。これ一つで荒砥ぎから仕上げ砥ぎまで済ませることが可能で、滑り止めの付いた砥ぎ台も付属しているので非常に使いやすい。はじめての砥石として手に入れるならこのようなタイプがおすすめだ。荒砥石&中砥石のセットのほか、中砥石&仕上げ砥石がセットになっている物もある。

ダイヤモンド砥石

研磨材に工業用のダイヤモンドが使われた砥石がダイヤモンド砥石。ダイヤモンドの砥粒は非常の硬度が高く、刃物を早く砥ぐことが可能だ。さらに砥石自体の摩耗もほとんどないので、砥ぎに重要な平面性を長くキープすることができる。種類によっては通常の水砥石では研げないセラミック包丁などを砥ぐことも可能だ。ただし、削る力が非常に強く包丁の寿命を縮めてしまう場合があるので使用には注意が必要。

3.簡易型の包丁砥ぎ器・シャープナー
砥石よりも簡単に使える簡易型の砥ぎ器がシャープナーだ。砥石のように刃先を研磨する(削る)のではなく、包丁の刃をセラミックやダイヤモンド砥石にこすりつけることで刃先を適度に荒らし、食材への食いつきをよくすることで、切れ味を一時的に回復させるというもの。
包丁の切れ味を簡単に回復可能だがあまり長持ちはしない。また繰りかえし使うと刃先の強度が落ち、刃割れや刃欠けの原因になるので注意が必要だ。こともあります。
今すぐに切れ味を取り戻したいという時にはシャープナーを、時間があるときには砥石でしっかりと砥ぐというように使いわけるのがいいだろう。

ダイヤモンド&セラミックシャープナー

角度を自分で調整する必要もなく、スリット部分に刃をこすりつけることで簡単に砥ぐことが可能。端のスリットから順に使うことで荒砥ぎ、中砥ぎ、仕上げ砥ぎがまでがこれ一つで出来る。

ダイヤモンドロールシャープナー

溝になった部分に包丁の刃を入れゆっくりと数回手前に引くだけで、内部に組み込まれたダイヤモンド砥石が回転しながら刃先を研いでくれる。硬いセラミック包丁を砥ぐことが可能だ。

4.砥石を使った正しい包丁の砥ぎ方
入手しやすい水砥石を使用した、一般的な両刃の洋包丁の砥ぎ方について紹介しよう。まずは砥石の準備をしよう。いきなり砥ぎ始めるのではなく作業を行う10~20分ほど前に、水を張った桶に砥石を漬けておく。水に沈めた砥石から、気泡が出なくなったら準備完了だ。

砥ぎ作業の10~15分前に砥石を水に漬ける。水砥石は水で滑りやすくしながら使うものなので、砥ぎ途中に水が切れないよう十分に砥石に吸水させておくのだ。ただし水に漬ける必要のない水砥石もあるので製品の説明書をよく読もう。
砥石を水に漬けるとこのように泡が発生する。この泡が出なくなったら十分吸水したということだ。

①砥石をセットする

砥ぎやすいよう砥石を丁度良い高さにセットする。ひじよりも少し低め、おへそくらいの高さがちょうど良いだろう。そして砥石は滑り止めの付いた専用の砥ぎ台にセットするか、濡れ布巾の上などに置き、作業中に動かないようにしよう。

②包丁を砥石の上に持ち構える

包丁の刃を手前にして持ち、砥石の縦方向に対して45度くらいの角度となるように構える。利き手の反対の手の人差し指と中指の2本を、包丁の刃の砥ぎたい部分に軽くあてる。

③砥石に対して刃を密着させる

砥石に包丁の刃を密着させ、滑らかに前後に動かそう。一か所20回ほど前後させ刃先から刃元に向かって順に研いでいくといい。この時、砥石の表面と刃の触れる角度は15度ほどが目安だ。指の太さによって変わるが、大体砥石と包丁の峰の隙間に小指が少し入るくらいがだいたい15度。角度の維持が難しい場合は包丁砥ぎホルダーなどを使うといい。

包丁砥ぎホルダー

こちらが包丁砥ぎホルダー。使い方は簡単で包丁の背に挟み込むだけで砥石に当たる角度を一定にしてくれる。砥ぎの際刃の角度のキープが難しい場合にはこういった便利なアイテムを使ってみよう。
包丁砥ぎホルダーは便利だが包丁の側面に傷をつけてしまうので高価な包丁に使用するのは避けたい。さらに包丁を砥ぐたびにホルダー自体もすり減って(砥がれて)いくので、定期的な交換も必要だ。

④砥ぎ汁を使い砥ぐ
砥石の水は常に切らさないように注意。しばらく砥ぐと刃物の金属の微粉末と、削れた砥石によって水が濁ってくるがこの砥ぎ汁が滑らかに刃を砥ぐ手助けをしてくれる。絶対に捨てず砥ぎ汁と共に砥ぎ続けるようにしよう。

⑤返りを確認する

刃元まで研いだら刃先をチェックしよう。砥いだ刃の部分を手で触れてみて、わかるくらいの返り(バリ・引っかかり)が、確認できたら包丁を反対に返して裏側も同じように砥ぐ。

⑥返りを落とす
刃の全体に返りができたらこのかえりを落とそう。新聞紙などを用意し、平らに広げて包丁の刃の両面を新聞にこすりつけて返りを落とし。試し切りをしてみて切れ味が戻っていれば砥ぎは完了だ。

5.砥石の手入れに使う面直し砥石
砥石は使っていると徐々に中央部分からすり減りへこんでしまう。そのままでは砥ぐ角度が安定せず、うまく刃を砥ぐことができない。そのため定期的な修正が必要だ。砥石の修正、表面を均一な面に直すことが面直し。面直しには専用の面直し砥石やドレッシングストーンなどが必要となる。
使い方は簡単で、削りたい砥石を下に置き、面直し砥石を持って平面にしたい面にこすりつけるだけ。円を描くように面全体を水平に削るイメージで動かすのがコツ。砥石の表面が平らになったら面直しは完了だ。

通常の砥石のように平面ではなく、目詰まりがしにくいように大きな溝が刻まれているのが面直し砥石の特徴だ。

5.砥石の保管方法
砥石を使ったあとは汚れを洗い流し、水気を切って乾燥させる。乾燥の際は屋外ではなく屋内で干すようにしよう。屋外で放置すると砥石の劣化やヒビ割れなどを起こす危険があるので注意が必要だ。乾いたら、ケースが付属している場合は必ずケースに入れ、無い場合は新聞紙などで包み、衝撃を与えないように注意して乾燥した場所で保管しよう。

まとめ
毎日の食事作りに欠かせない包丁は、どこの家庭にでもある定番の調理道具だ。そして定番の道具だからこそこだわりをもって高価な包丁を使っているという方もきっといるだろう。しかし、どんなに高価な包丁であっても砥ぎもせず、切れ味が落ちてしまえば安物の包丁と変わらない。面倒でも手間をかけ丁寧に砥ぐことで包丁は本来の切れ味を発揮することができるのだ。難しいのではと思われている方も少なくないが、砥ぎ作業自体は面倒だが決して難しくはない。丁寧に作作業すればだれにでもある程度の砥ぎは可能だ。是非、使いやすい砥石を手に入れ、愛用の包丁の砥ぎに挑戦してみてほしい。