木. 3月 28th, 2024

ベルトサンダー

「ベルトサンダー」どんな道具?

監修:山田芳照(制作協力:友野昌好)

機械下部に付いたサンディングベルトを高速に回転させる事で、材料を研磨する道具です。同じ名前で、卓上タイプも販売されておりますが、今回は手に持って使うタイプをご紹介します。 ベルトサンダーは、研磨ツールの中では、最も強力で広い面を整えたり、角を削り取るなどの成形加工にも使用できます。また、サンディングスタンド等で機械を固定すれば、小さい部材の角落としや形成加工も簡単正確にできます。 構造や使い方は非常に単純ですが、ベルトサンダーの特性を理解すればより効率的に作業できます。 それでは、そのあたりをふまえてご紹介していきましょう !

・適した用途


ベルトサンダーは、研磨能力が非常に高いので、ウッドデッキなどの広い面をサンディングするには最適です。


数秒間サンディングするだけで、簡単に材料の表面を削り取る事ができます。それだけのパワーがあるので家具や小物などの仕上げ研磨には向きません。


表面研磨だけでなく、角材の角を丸くするなど成形加工にも重宝します。

・使用する前の確認

まず、材料に当てない状態で電源を入れ、ベルトのブレやたるみ、異音がしないかなどしっかり確認します。


この確認を怠ると研磨面を荒らすばかりか、事故の原因ともなります。


また、ベルトサンダーは研磨能力が高いので沢山の粉塵が出ます、防塵マスクを着用し集塵機能が有る機種はなるべく取り付けて作業しましょう。


作業を開始する時は、材料にあてない状態で電源を入れ、回転が安定してからサンディングを始めます。木材をサンディングする場合には、ベルトの回転方向と木目方向を合わせると綺麗にサンディングする事ができます。

・サンディングテクニック

ベルトサンダーは一方向にベルトが回転するので、コントロール方法や当て方にもチョットしたコツが有ります。


写真の様に、接地面のベルトは前から後ろに送られる為、サンディング中は常に前へ進む力が働いています。


その為、前方に置いたベルトサンダーを後ろ方向に引き戻す感覚でサンディングすると無駄な力がかからず効率良く作業できます。ベルトサンダーも下に押しつける力は必要ありません、機械の重さをかける程度がベストです。


また、効率良く削るには逆目方向、仕上げ削りは、ならい目方向と作業段階に合わせて、あてる向きを替えるのも意外と知られていないテクニックです。

・サンディングベルト


サンディングベルトにも、通常のサンドペーパーの様に複数の番手が用意されています。また、発熱による研磨力の低下が起こりやすい、金属研磨に対応したサンディングベルトも販売されています。作業に合わせて最適なベルトを選ぶ事も効率的な作業には重要です。

*番手=研磨剤が小さくなる程(→仕上げ用)、数字は大きくなります。


サンディングベルトは、回転方向とベルト裏面の矢印が同じ向きになるように取り付けます。


ベルトの脱着は非常に簡単で、レバーを起こすとベルトが緩み、倒す(黄矢印)とテンションローラー(赤矢印)が開きベルトが張れます。

・ベルトの調整


ベルトは、ローラーのほぼ中央で回るようにアジャストスクリューで調整します。

・スピードコントロール


スピードコントロール付きの機種は、加工する材料に合わせて、スピード調整をしましょう!より効果的な作業ができます。


ベルトの番手と回転スピードは上記の表を参考にして下さい。ちなみに、私が持っている機種は古いので、スピードコントロールが付いていません。

▼道具を自作する事は非常に有意義なことですが、製作・使用については、安全を最優先して下さい。 安全に自信が持てない場合には、使用してはいけません。

・ベルトのクリーニング

作業を効率良く行う為には、研磨材の間に詰まったカスを取り除く事が非常に重要です。定期的に汚れを取り除けば、ベルトも長持ちします。


真鍮ブラシなどを角材にビス止めし、スイッチを入れない状態で擦り付けるとある程度は取り除く事が出来ます。


また、ベルトクリーナーという商品を使用すると更に綺麗にクリーニング出来ます。 価格は、400円程度で、かなり沢山使えます。


使い方も非常に簡単で、回転させたベルトに軽く当てるだけ、驚くほど綺麗になります。

・サンディングスタンド

大きな物をサンディングするには、手持ちが便利ですが、小さな物や精度を出したい場合には、機械を固定した方が便利です。


薄い合板の上にベルトサンダーを寝せて置き、端材などを利用して水平にはまる台を作ります。作り方はこちら


脇に水平な台を置き、その上に削る材料を載せれば安定した加工が出来ます。


また、先端の丸い部分を利用すれば、テンプレート(型板)などの曲線仕上げも簡単にできます。

・純正サンディングスタンド


専用のサンディングスタンドを用意している機種もあります。


但し、機種により取り付ける向きが違うので、自分に合った物を選びましょう。


上記の様に取り付け向きを替えられる物も有ります。

・スタンドの作り方


まず、ベルトサンダーの立てる向きを決めます。ベルトサンダーより若干大きい板と土台に使用する適当な端材を用意します。板は薄くても大丈夫です。


ベルト面が垂直なる様に、支えブロックを作ります。 必ずフレームなど硬い部分に加重がかかるようにして下さい。高さ・位置が確定したら板に印を付け、機械を退けて両面テープでブロックを貼り付けます。


その後、裏返し動かない様にビス止めしまします。機械を載せた時ガタ付かない様に精度良く作りましょう。もしガタが有る場合には、画用紙などをテープで留め解決します。


続いて、サンディングベルトの高さに合わせて作業テーブルを作ります。板の縁にクランプが留められる様に脚は少し内側に付けましょう。


機械をクランプなどで、しっかり固定し、作業台とベルトが直角になっているか確認します。問題なければ 、これで完成です。


更に、研磨面に対して直角に適当な端材を固定すれば、直角フェンスのできあがりです。フェンスはサンディングベルトに接する様に固定すると加工材の木口割れを防ぐ役も果たします。


写真の様な細いモールディング材も、フェンス(直角ガイド)に沿って押し当てれば、精度の高い微調整も簡単にできます。また、底上げ板の厚みを替えて、ベルトの使用場所を変えるとベルトが長持ちします。


フェンスを45°に固定し丸棒を回しながら加工すれば丸棒の角取りも綺麗に出来ます。他にも便利な加工が沢山出来ます、是非お試し下さい。

 

ベルトサンダーを購入するときのポイント


各メーカーから、1機種くらいは販売されておりますが、売り場に置いているホームセンターは少なく、有っても1~2機種です。 その為、商品を選ぶにはインターネットの情報が頼りになります、実際に使っている人のレポートなどを参考にご検討下さい。 基本的な構造や扱い方は同じですが、機種により様々な特徴が有ります。下記のポイントを、比較して自分に有った機種をお選び下さい。

1.パワー(出力)

出力が大きい物ほど力が有り、研磨能力が高いです。

2.ベルトサイズ

ベルトは、幅100mm(周長610mm) と 76mm(周長533mm) が代表的です。  ★ 76mmタイプは、アメリカの3インチ×21インチに対応したサイズです。

3.スピードコントロール

最近のモデルには、だいたいスピードコントロールが付いています。(無段変速など)

4.集塵機能

屋内で使用する場合、集塵機能は重要です。集塵機(掃除機)に取り付けられる物がオススメです。

5.形状

先端のローラー部分が露出している物は、R面のサンディングにも使用できます。 先端が細いタイプは、狭い場所のサンディグにも重宝します。

6.付属品・別売品

ダストバックや固定用クランプセットが付属の物も有ります。 サンディングスタンドが必要な場合には、購入が可能か確認しましょう。

7.消耗品

サンディングベルトが何処でいくらで手に入るか事前に確認しておきましょう。