DIYや、日曜大工作業などで何かと何かを締結する（ていけつする／繋ぎ合わせるということ）ために使用するものといえばボルトやナット、木ネジ、釘などです。ちなみにこういったボルトやナット、ねじなどのことを締結部品（ていけつぶひん）などともいいます。
しかし、どのような作業をするかによりますが中にはこれらのものだけで対応できないシーンもあります。例えば薄い金属板同士を繋ぎ合わせなくてはならない時などです。
金属ならば釘はまずNG。穴を開けてボルトとナットで繋ぐにも金属板が薄い場合締めつける過程で金属板が歪みやすく、十分な強度も期待できません。またボルトのネジ部やナットが飛び出すのも好ましくありません。
溶接で繋ぐにも金属板がアルミの薄板なら溶接自体も困難です。ならば接着剤を使えばいい？ それでも部材同士の接触面積が小さい場合には強度が十分出ませんし、耐久性にも不安があります。
ではどうすればいいのか？ こういったケースで最適な手段といえるのがリベットでしょう。作業性に優れ強度も期待でき、また耐久性も十分。さらに薄い金属板同士の接続にも適しています。リベッターを使用することでスピーディかつ簡単に金属同士を繋ぎ合わせることが可能です。
そんなボルトや釘などとは違うDIYにも便利な締結手段リベットと、そしてそれを打ち込むためのリベッターとはどのようなものなのか、その種類や違い、そして使い方について解説します。
リベットとは、一方の端に丸い頭をもった柱状の締結部品です。おもに金属でできており繋ぎたい部品それぞれに穴をあけその穴にリベットを通して繋ぎ合わせるというもの。ただし、ネジやボルトなどとは違いネジで締めつけるのではなくカシメという作業でしっかりと締結します。
身近なものとしては、鉄橋を思い浮かべてください。鉄橋にはボルトも使われていますが、鉄骨の表面にぼこぼこと丸い頭の金属部品が飛び出しているのを見たことがあるはずです。あれがリベットです。またジーンズなどに使われている鋲（びょう）もリベットの一種です。リベットは頭とは反対側の端をカシメることで部品や材料どうしをがっちりと繋いでいます。
カシメとは、簡単にいえば素材を変形（つぶす）させることで動かないように固定する方法のこと。締結部品そのものを変形させてしまうのでボルトなどのように緩む可能性が低く、また容易には外れません。さらに半永久的な締結力が期待できるというわけです。
鉄橋度に使われている極端に大きなものから数ミリ程度の小さなものまだリベットには様々なサイズがあります。
ボルトとナットとの一番の違いは、一度カシメたリベットは、基本的には外すことを想定していません。そのため組み立てた後にメンテナンスのために分解が必要なものには適していません。しかし、材料に穴さえ開ければ片面から部材同士を固定できる（後述するブラインドリベットの場合）というのも大きな特長です。
リベットには素材、大きさ、特長などによって様々な種類がありますが、ここではDIYなどでも一般的に使用されている代表的なリベットのいくつかを紹介します。
丸リベット・薄平リベット・なべリベット・皿リベット
もっとも基本的なアルミやステンレスなどの金属でできたリベットです。軸の部分にらせん状の溝が切られていないネジのような形状をしており、頭の形によって丸リベット、薄平リベット、なべリベット、皿リベットなどの種類があります。リベットセッターなどの専用の機械で上下からプレスするか、ハンマーなどで頭の反対側を叩いてカシメて固定します。
ブラインドリベット
DIY作業で使われる機会が多いリベットがブラインドリベットです。リベットの代表といっていいでしょう。固定したい材料、部品の片側からのみの作業でカシメることが可能です。構造は材料どうしを実際に締結するリベットボディと差し込んだ時のストッパーとなるフランジ、そして強い力で引き抜くことでリベットボディの端を変形させカシメるマンドレル（シャフト）からなります。ブラインドリベットは箱状に組んだものなど、裏側に工具などが入らないような場合でもしっかりと締結ができます。締結の強度も非常に高く作業も簡単なので様々なシーンで利用可能です。
中空リベット
頭のから伸びるリベットの脚部分が空洞になっているリベットが中空リベットです。かしめるにはリベットセッターという専用工具が必要で、レザー製品などに使用されています。用途に合わせ、さまざまな形状・規格の種類のものがありますがDIYではレザークラフトなど以外に使用されることはあまり多くありません。
樹脂リベット
リベットそのものがプラスチックでできたのが樹脂リベットです。プラスチック部品の接続やプラダンの接合などに使用されています。また車のインナーフェンダーや内装パーツ、オートバイのカウリングなどの固定にも使われています。金属製のリベットとは異なり、締結後も簡単に取り外すことができるタイプもあります。専用工具がなくても簡単に使用できるものもなるのでDIYにも活用できます。
素材や形などリベットには様々なタイプがあります。しかしカシメによって固定するという基本は同じです。その特長を把握して、材料や作業の目的に適したリベットを選び使いましょう。
リベットの打ち方・外し方
リベットには様々なタイプがあると前述しましたが、その中でもパーツの片側からカシメることができるという作業性の高さなどから、DIYなどで特に使用されているのがブラインドリベットです。
そんなブラインドリベットを使ったリベットの打ち方（カシメ方）について紹介します。まずブラインドリベットを使用するには専用の工具が必要となります。代表的なものがハンドリベッターです。
ハンドリベッターは一見大きなペンチのようにも見えますが、先端にブラインドリベットをセットしてグリップ部分を握るだけで簡単にリベットをカシメる事が可能な便利なツールです。
このハンドリベッターの先端には穴の空いた部品が取り付けられています。これがノーズピースです。使用するリベットのサイズに合わせてこれを交換することでサイズの違うブラインドリベットにも対応することができます。寝かせた状態で使用する片手式横型、材料が起きた状態で使用する片手式縦型、そしてより強い力でカシメることのできる両手式などがあります。
片手式横型のハンドリベッターによるカシメ方手順は以下です。
①材料、部材に使用するリベットのサイズに合った下穴を開けます。4mmのリベット使う場合は4mm〜4.2mmの穴を開けます。穴が大きすぎるとリベットが抜けてしまうので注意しましょう。
②リベッターにリベットのサイズに合ったノーズピースを取り付け、リベットセットします。
③部材に開けた下穴にブラインドリベットを通します。
④ハンドリベッターのレバーをしっかり握ります。
⑤カシメられるとシャフトが切断されます。
⑥ハンドルを握っている力を解放するとシャフトが排出され完了です。
●一度かしめたリベットの外し方とは
ブラインドリベットはボルトなどと違って、一度締結すると半永久的固定されてしまいます。そのため分解などが必要なく、かつ確実に繋ぎ合わせた個所に使うものなのですが、場合によってはこのブラインドリベットを外したいということもあるかもしれません。
基本は外せないリベットですが、電動ドリルなどを使用してリベットそのものを破壊することで取り外すことは不可能ではありません。
その方法はカシメられた側のリベットの穴の中心にドリルを当て削ってしまうというものです。こうすることでカシメられていたリベットボディとフランジ部分が分離するので、あとはリベットボディを部材の反対側に押し込み抜き取ります。これでリベットを外すことができるはずです。ただし、ドリルを使用するので正確に削らないと、繋ぎ合わせていた部材自体を傷つけてしまう場合があります。くれぐれも慎重に削るようにしましょう