電工(圧着)ペンチの種類と使い方

電工(圧着)ペンチの種類と使い方

圧着ペンチ

電工(圧着)ペンチ

電工ペンチ

各部名称と機能
①ダイス/この部分でスリーブや端子の爪に圧力をかけつぶすことで電線などとカシメます。
②ワイヤーカッター/電線などを切断するカッターになっています。
③ボルトカッター/この部分に、サイズに合ったボルトをねじ込み、ハンドルを握ることでネジ山をつぶさずにボルトをカットすることが可能です。
④ワイヤーストリッパー/電線の絶縁被膜を剥きとることが可能です。
⑤ハンドル/手で握る部分です。圧着ペンチはラチェット構造になっていて圧着不良を防ぐために、一定の圧力が掛からないとレバーが元に戻らないようになっています。レバーを奥までしっかり握るとロックは解除されます

圧着ペンチの使い方
●リングスリーブの圧着方法
圧着ペンチを使ったリングスリーブの圧着方法を説明します。黄色いハンドルがリングスリーブ専用圧着ペンチの目印になっています。リングスリーブをカシメる部分がダイスです。ダイスはスリーブのサイズごとに分かれています。圧着ペンチはハンドルを最後まで握りこむことでハンドルが解放されます。無理にハンドルを開こうとすると壊れる危険があるので注意してください。

リングスリーブ

リングスリーブ
鉛でできた筒状の圧着端子がリングスリーブです。電線の絶縁被覆を剥き、筒に芯線を通して、芯線同士を結線するのに用いられます。スリーブの中で芯線を噛ませることにより、2本だけでなく3本以上の結線も可能です。ハンダ付けに比べて容易に結線が行えます。圧着後には絶縁テープもしくはリングスリーブ用の絶縁キャップで絶縁します。リングスリーブには大・中・小の3種類のサイズがあり圧着したい電線の本数によって適したサイズを選びます。

リングスリーブ

ここでは2mmの電線を3本圧着するのに、中のリングスリーブを使います。圧着スリーブの広がっている部分が下側にくるようにして、リングに電線を通します。

圧着ペンチ

圧着ペンチのダイスの中の部分で、リングスリーブを挟み込みます。ハンドルを最後まで強く握りこんで、リングスリーブに圧力を加えます。ハンドルは奥まで握りこむとロックが解除されます。

圧着ペンチ

電線が圧着されました。電線がはみ出している部分はニッパなどでカットしてください。

絶縁テープで、先端を絶縁したら完了です。

●ギボシ端子の圧着方法
次に電工ペンチを使ったギボシ端子の圧着方法を説明します。繋ぎ合わせたい電線のそれぞれにギボシ端子を取り付け、電線どうしを接続してみます。使用するのは電線(リード線)と、オスとメスそれぞれのギボシ端子、そしてそれぞれの絶縁キャップです。平型端子の場合も、基本的に圧着方法は同じです。
また、電工ペンチは圧着機能だけでなく、ワイヤーカッター機能や、ボルトカッター機能も持っています。それぞれの使い方も合わせて説明します。電工(圧着)ペンチでカシメることができる圧着端子には、カシメる爪部分が開いたオープンバレルタイプ、筒状に閉じたクローズドバレルタイプ、端子の先端が被覆されていない裸端子、端子の先端が被覆されている絶縁端子など、複数の種類があり、またその形状にも以下のような様々なタイプがあります。使用する圧着端子の大きさに適した圧着工具を選ぶ必要があります。それぞれサイズの違いもあるので、正しい大きさのダイスでカシメるように気をつけましょう。

ギボシ端子

ギボシ端子
円筒形のオス端子と、メス端子の一対からなっている端子です。オスどうし、メスどうしで繋げることができないので、つなぎ間違いによる配線のショートを防ぐことが可能です。その形状が橋の欄干などに取り付けられる“擬宝珠(ぎぼし)”に形が似ているところからこの名前が付けられています。カーオーディオの接続やクルマの電装パーツの接続に多く用いられています。

クワ型端子

クワ型端子
その形状が、まるで昆虫のクワガタの角のような形をした平型の端子です。先端がオープン型になっており、ネジ止めされている配線にも、ネジを緩めることで簡単に結線可能です。主に、自動車のアース線の接続などに使われます。

平型端子(ファストン端子)

平型端子(ファストン端子)
薄く平べったい形状をした端子でファストン端子とも呼ばれます。ギボシ端子と同様にオス端子とメス端子で一対となっており、結線ミスを防ぐことが可能です。端子同士の着脱が簡単で自動車の電気系パーツの配線などに使われています。

丸型端子

丸型端子
先端がリング状になった端子です。クワ型端子と形が似ていますが、先端はオープンになっておらず、クローズ形状になっています。クローズ型なのでネジなどで接続対象につないだ場合にも、振動などでは容易に抜ける心配がありません。クルマのバッテリーターミナルなどに使われています。

●ギボシ端子の圧着方法

ギボシ端子の圧着方法

まず、ワイヤーストリッパー機能で、電線(リード線)の絶縁被膜を剥きます。必ずリード線の太さに合う部分で被膜を剥いてください。間違えると、被膜が剥けなかったり、中の芯線を切断してしまうので注意してください。

被覆を剥いた芯線を指でねじってまとめてください。芯線は、1本でも飛び出していると、他の配線に触れショートの原因となりますので、しっかりとねじりまとめます。

端子にかぶせる絶縁キャップを先に電線に通しておき次にギボシ端子のオス端子側に電線を通します。芯線が端子の小さい爪から1ミリ程度はみ出すぐらいが目安です。大きな爪には、絶縁被覆が重なるようにします。まだ固定できていないので位置がずれないように注意しましょう。

ギボシ端子の圧着方法

まずは小さい方の爪を仮カシメします。爪のサイズよりも1サイズ大きいダイスで軽く挟み、カシメます。爪がM字状になり、端子がカシメられました。左右の爪が重ならないように気をつけましょう。

ギボシ端子の圧着方法

さらに本カシメをします。使用するギボシ端子に合ったダイスで、しっかりとカシメます。ハンドルを強く握り確実に圧着してください。

小さい爪が、芯線にしっかり圧着されていることを確認してください。芯線が外にはみ出ていないかもチェックしましょう。


次は大きな方の爪を、絶縁被膜にカシメます。先ほどと同様にまず1サイズ大きなダイスで仮カシメします。

さらにジャストサイズのダイスを使って本カシメをします。左右の大きな爪が配線の絶縁被覆にしっかりと食い込むようにします。しっかりと電工ペンチのハンドルを握り強く圧着してください。同様の作業をメス型端子に行います。

電線を軽く引っ張り端子から抜けないか確認し問題がなければ先に電線に通しておいた絶縁キャップを端子にかぶせます。

オス端子とメス端子それぞれに絶縁キャップをかぶせたら、端子同士を接続します。少し力が要りますがしっかりと差し込みつないで、端子部分をそれぞれの絶縁キャップでカバーすれば完成です。

●ワイヤーカッターの使い方

電工ペンチ

ワイヤーカッター機能は電工ペンチの先端、もしくは回転軸の根元部分に装備されています。ニッパのような刃が付いている部分です。この部分で切断対象の電線を挟みハンドルを握るとカットできます。

●ボルトカッターの使い方

電工ペンチ

長すぎるボルトやビスのネジ山を潰すことなく切断するのがボルトカッター機能です。ボルトのサイズに合った電工ペンチの穴に、ボルト(またはビス)をねじ込みます。

電工ペンチ

切断位置を圧着ペンチの中央に合わせてハンドルを強く握ります。

ボルトをドライバーで回し取り外せば完了です。ネジ山が潰れることなくキレイに切断できました。